世の中は制度(脚注-1)によって動いています。
行政のトップは内閣総理大臣ですが、その内閣総理大臣を選ぶ制度があります。
- 内閣総理大臣は国会議員が選ぶ(憲法第67条)
- 国会議員は日本国民が選ぶ(憲法第43条)
この制度によって、間接的にではありますが、内閣総理大臣は日本国民が選んでいるということが担保(保証)されています。
憲法に明記されている制度ですので、この制度を変えるには憲法の改正が必要です。
自由民主党の総裁選挙に立候補した河野太郎は、この制度ということをわかっていないようです。
総裁選挙について次のような発言をしているからです。
「上位二人による決戦投票のときにも、最初の投票と同じく党員票を重視すべき。」
この発言は大きな問題を孕んでいます。
たとえ議員票が少なくても、党員票によって総裁になることができます。
その場合、国会での投票で内閣総理大臣に選ばれる人は、総裁では無い人ということになります。
または、国会議員が自分の意志を曲げて、党員票で総裁になった人を無理やり内閣総理大臣に選ぶと、日本国民をも裏切ることになります。
どちらにしても問題となります。
そもそも現在のままでも同じ問題を起こす可能性があります。
今後は国会議員の票が拮抗した場合にのみ、党員票を使うという方向に持っていくべきです。
それが制度を正しく作るということです。
制度は、目的に合致することが第一ですが、同時に抜け穴の無いことが重要です。
そもそも政治家が実際の作業をするわけではありません。制度を作って、その制度に従って役人が動くのです。
つまり、制度に熟知していない人は政治家には向かない、ということになります。
第８７・８８・８９代の内閣総理大臣を務めた小泉純一郎は、取り巻きということを知らないようです。
次のような発言をしているからです。
「やると決めればなんでもできる。」
政権の中枢にいるときの取り巻きは、できること と できないこと をわかっていますので、できることしか耳に入れません。
できないことをやれといわれて失敗するのは御免だからです。
ところが現在の取り巻きは自分がやるわけでもないし、責任も無いので、勝手なことを言い出します。
利権にたかろうとしている人もいることでしょう。
そのため、できないこともたっぷりと耳に入ってきます。
従って、できること と できないこと の判断をする能力が必要になります。
そもそも「やると決めたことが、なんでもできる」のであれば、
完全に安全な原子炉を作ると決めればできる筈です。
それなのに原子炉が危険だと言うのでは、もはや論理は破綻しています。
小泉純一郎は論理的な思考ができない、ということを証明してしまっています。
夢を持ち、夢を語ることも政治家には必要なことかもしれません。
しかし、その夢は遠くに望むものです。決して、直ちに実行できるものではありません。